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働き方変革成功企業事例

トップインタビュー 株式会社 旅館総合研究所

改善を繰り返しながら、柔軟な働き方を実現 (株)旅館総合研究所

旅館総合研究所では、2014年から働き方の見直しに着手。
チームワークと一人ひとりの自律的な働き方を両立し、スマートな働き方を実現。

現在の仕事の進め方や社内の現状について、重松正弥社長と岩澤優花取締役に、弊社コンサルタントの風間大畑がお話をうかがいました。


旅館総合研究所の働き方の「進化」

コンサルティングやセミナー業務などで出張が多く、社には不在がちだという重松社長。
過去と比較して、社員に仕事を任せる傾向が強まったという。

「以前は、メンバーの仕事にいろいろ口出ししていたんですが、私が物理的に社にいなければ、
メンバーに口出しすることもないし、メンバーも私に頼ったりお伺いを立てたりすることがなくなります。
今は、任せたほうが人は成長すると思っています」

お客様の満足度と社員の満足度はどちらが先なのか──社員の満足度が後回しにされがちな風潮にあって、
重松社長は社員の満足度が先だと言いきる。

「社員が満足したら、それがお客さんに伝わって、お客さんからも感謝されて……という相乗効果が生まれます。
でも、冷静に考えると、うちの会社があまりそうなっていないな、と。
そこで、社員の満足度を高める取り組みをいろいろやってみて、駄目なら変えていこうと思うようになりました」

社内の人間関係の質の向上は、アウトプットの向上にもつながり、最終的に会社の生産性も上げる。
その信念のもと、社内のコミュニケーションは特に注力する要素となっている。

「毎月1回『社員会』というのを行っていて、そこでは必ずコミュニケーションを深めるためのセッションをします。
最近は、社内でお互いを下の名前で呼び合おうと決めました。
私自身、名前で呼ばれるのはものすごく恥ずかしいですけど、たぶんすぐに慣れると思います。
それがいい結果につながってくれたらと願っています」


柔軟な働き方を追求する

一部の社員を在宅勤務にするなど、試行錯誤しながら柔軟な働き方を日々追求している。

「一人の社員に仕事が集中して、仕事を抱え込んだ結果、ミスが重なってしまいました。
もともと仕事を抱え込むタイプでありながら、面倒見がよくて周りのメンバーの仕事が気になってしまう。
そんなところを解決する手段として在宅勤務にトライしました。
ほかにも、メンバーの抱えている仕事を一覧表にして、みんなでフォローしあえる体制づくりなどにも取り組んでいます」

旅館総合研究所の今年の目標は
『失敗歓迎』
『締め切り半分』
『6割十分』
『関係第一』 の4つ。
締め切り半分とは、締め切りの半分の期日で仕事を提出しようということ。
仕上がりの基準は6割で十分だという。

「締め切りよりもだいぶ早く、6割の完成度で提出したほうが修正もできますし、仕事も速く進みます。
社内ではそういう文化にしようと話しています。
お客さんに向けても、徹夜して完璧な資料を出して一方的にアピールするより、
しっかり相手の話を聞いて、的確に返したほうが反応もいいんですよね」

旅館総合研究所の業務は、正社員も含めて全員17時で終了し基本的に残業はしない。
最近では、朝礼も廃止して、出勤日も自由に選択できる仕組みを検討しているという。
そもそも全員が同じ時間に集まって、同じ時間に帰るというシステムそのものが古いのではないか、
と重松社長は指摘する。

今、フルタイムで仕事をしているのは男性一人だけ。
「彼に『9時—6時と8時—5時、どっちがいい?』と聞いたら、『8時—5時です』と答えたので、じゃあそうしよう、と。
本人が選んだ働き方ですし、朝の時間帯は仕事も速く進みますから、そのほうがいいのではないでしょうか。
これからは、細切れの労働力を活用していかないと上手くいかないと思うので、就業時間も出勤日も厳密に決めようとは考えていません。
その人に合わせた柔軟な働き方を模索しているところですね」


意思決定よりも大切なこと

新しいチャレンジについては、岩澤さんを中心に事前に相談してから決定するという重松社長。
ときには岩澤さんからストップがかかることもある。

「SONYにしてもホンダにしても、成功した会社の歴史を調べると、トップが一人で意思決定をしてないんです。
私も岩澤に相談するようになってから、今のところ上手くいっていると思います。
そもそも私は、意思決定なんてどうでもいいと思っています。
何かを決めたら、それが上手くいくようにやるだけ。だから、意思決定そのものよりも、メンバーみんなにやる気になってもらうことのほうが大事だと思っているんです」


【重松社長インタビュー】

風間:重松さんのお話をうかがって、「任せてみる」「やらせてみる」という方向にマネジメントの舵を大きく切られたように感じました。そこに至る大きなきっかけは何だったのでしょうか?

重松様:本音をいえば、格好いい理由なんてありません、単純に歳をとると疲れてしまうんですよ(笑)。
以前は徹夜でこなしていた仕事が、もうできなくなった。だから、「とりあえず寝てから頑張ろう」というのが今の仕事のスタイルになりました。

そうしてみてわかってきたのが、「時間をかければいいものができるわけではない」ということです。今まで「徹夜してでもやらなければ」と思っていた仕事も、割り切って力を抜いてみたら、思ったほど不都合が起きません。


風間:「今は仕事が大変だからワーク・ライフバランスをやめてしまおう」といった考えを持つことはありませんでしたか?

重松様:『新・観光立国論』(東洋経済新報社)という本を書いたデービッド・アトキンソンさんの講演を聴きにいったことがあるのですが、
そこで「日本のGDPは世界第3位だけど、国民1人あたりで見るとイタリアと変わらない」という話を聞きました。

その事実が、自分にはものすごいショックだったんですよね。
日本人の労働生産性は低いじゃないか、と。「イタリアと日本では、生み出している価値が一緒。
だとしたらどっちの働き方がいい?」と聞いたら、誰もがイタリアと答えます。
それならイタリアを目指そうよ、というのが私の考えなんです。

風間:サービス業の方たちの人生のクオリティが上がっていかないと、やはりいいサービスが提供できないと思います。

重松様:私自身、旅館やホテルの経営者から「どうすればいい人材を採用できますか?」と相談を受けると、
「高い給与を出せば人は採用できますけど、定着するかどうかは別です」と答えています。

最終的には、働きやすい環境を整えるのが一番です。
サービス業は、とかくお客様の満足度向上にベクトルが向きがちですが、社員の満足度にももっと目を向けるべきです。

これからは自由な働き方を推進していきたいと思っているんです。
出社は週3日でも2日でも、あるいは1日でもいいかもしれない。
会社に来ずとも、仕事が進められる環境を作っていきたいですね。
そうでないと、採用費をかけずに優秀な人を採ることはできないですからね。

風間:ワーク・ライフバランスの取り組みを進めるにあたって、経営者として必要な条件や心構えについてお聞かせください。

重松様:そんなのないですよ(笑)。
強いて言えば「とりあえずワーク・ライフバランス社のコンサルティングを受けてみる」といったきっかけが必要だと思います。
私自身、小室さんの本を読み、御社とお付き合いするようになってから、ワーク・ライフバランスを強く意識するようになりました。

あとは、取り組みを継続する意思が必要なのかもしれませんが、
私の場合は「日本的なやり方はもう駄目」「イタリアに負けられない」という動機があるので、
後戻りすることはないと思っています。

社員に対しても、私があれこれ口を出しても、本人に興味がなければ全然響きませんし、私のストレスになるだけ。
だから、まずは働き方を変えることに興味をもってもらうことが最優先ではないでしょうか。


【岩澤取締役インタビュー】

大畑:岩澤さんは、かつては主婦をされていたとのことですが、現在は短時間勤務で働く契約社員という立場から取締役になられたとお聞きしました。

マネジメントにチャレンジされるきっかけを教えてください。

岩澤様:取締役という話を最初に聞いたときにはびっくりしました、「どういう責任をとることになるんだろう」と。
でも、重松を人間として信頼していたので、「これは悪いことでない」「私のため、旅館総研のためを思ってのオファーなんだろうな」と思い、
あれこれ考えずに頑張ろうという気持ちになれました。


大畑:取締役になる前には、仕事の上でスランプを体験した時期もあったということですが。

岩澤様:当時は、会社を辞めることも考えていました。
「なんでできないんだろう」「なんで私ばっかりこんなに仕事が多いんだろう」って自分を追い詰めていたんです。

そこで、自分自身をしばらく放置してみたところ、やっぱり会社が好きだな、と思えました。責任を負いすぎないように目の前の仕事に取り組もうと考えたことで、なんとか脱出できたんです。

大畑:現在は、どのようなマネジメントを意識されていますか?

岩澤様:私は重松と行動することが多いので、オフィスにいる時間が短いんです。

在社しているときは、できるだけみんなと同じ仕事をしたり、打ち合わせでは、メンバーがわからないことをフォローしたりするように意識しています。
ただ、仕事の面では権限委譲が進んでいるので、そんなにマネジメントはしていません。

あとは、重松が言うことを私が翻訳して伝達する役割を担っています。
重松の仕事を手伝うようになって、こんなに難しいジャッジを一人でやっていたんだというのを知り、
私が重松の仕事を管理しないと駄目だと思うようになりました。
重松が機能しなくなったら元も子もありませんから。

大畑:経営に携わってみた感想はいかがでしょうか?

岩澤様:「おまえも経営者なんだからな」って言われると、いまだにハッとします。
以前と変わったところは、会社の資金をちゃんとチェックしたり、重松のスケジュール管理ができたりするようになったところでしょうか。

重松からは「明日の仕事はどこだっけ?」という電話をよく受けます。
私が重松の仕事を忘れてしまうと、その仕事は忘れさられてしまうので、気をつけないといけませんね(笑)。

大畑:これから仕事も生活も両方頑張っていきたい女性に対して、アドバイスになることがあればお願いしたいと思います。

岩澤様:私自身「フルタイムじゃないからできない」というのは言い訳にしないようにしています。
社員が「短時間でもできる」と考えて、経営者も「フルタイムじゃなくても任せられる」と考えれば、お互いに一歩進めるのではないでしょうか。

正直なところ、「岩澤取締役様」と書類に書いてあるのを見たりすると、むずがゆいのですが、萎縮していても仕方ありません。

社長あての電話やメールは積極的に私が対応できるようにしています。
自分から出て行くことで、逃げられない状況を作ることが大切だと思っています。

大畑:ありがとうございます。大変勉強になりました。


株式会社 旅館総合研究所

ホームページ
http://ryokan.co.jp/

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