株式会社JTB

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ワークライフバランス推進企業の事例と致しまして 株式会社ジェイティービー 常務取締役総務部長 井本博幸氏と小室の対談をご紹介致します。 

株式会社ジェイティービー様(以下「JTB」)は2006年よりレディースプロジェクトを発足するなど、女性が活躍できる会社作りに力を入れている企業のひとつです。
現在は、弊社のワーク・ライフバランスコンサルティングを受けるなど、 男性を含めた、ダイバーシティの推進のための制度作りを行っています。

※ お相手:株式会社ジェイティービー 常務取締役総務部長 井本博幸氏(以下、「井本氏」)
株式会社ジェイティービー ダイバーシティ推進室 坂本友理氏(以下、「坂本氏」)
※ 聞き手:株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役 小室淑恵(以下、「小室」)

ダイバーシティを取り組むきっかけ

導入企業
小室:
インタビュー風景 早速ですが、ダイバーシティに取り組もうという危機感を
持たれたのはどういったきっかけでしたか?

井本氏:
JTBは旅行というソフトを販売する会社であるため、財産は人しかありません。その中で少子高齢化を想定すると、人材に問題が生じることに気づきました。

現在、グループ全体で400名いる経営層のうち、女性は5名のみです。
店舗の店長などには女性もいますが、管理部門、外部への営業、経営層にも女性の存在が必要だと思いました。

そのうえで社内でヒアリングしていくと、女性には子育ての問題があることで働き続けることが難しいことに気づきました。そこで働き方の多様性を進めていかなければならないと思ったのがきっかけになります。

小室:
ダイバーシティは、経営改革の柱の一つにすえたのですか?

井本氏:
当時はまだ、ダイバーシティという言葉は使っていませんでしたが、分社化により、今後は優秀な人材の採用や定着に大きく影響が出てくるだろうと考えたこともあり、多様な人材(特に女性)の活躍推進を提言していました。

ロールモデルの重要性

小室:
活躍している両立ロールモデルの存在は、非常に大きいですよね。
特に、結婚・出産・育児・介護などを経ても自然体で働き続けて活躍しているロールモデルがいないと、後輩は長期的なキャリアのイメージを描くことができなくて辞めていってしまいますよね。管理職を目指す意欲を持つ若手人材を育成するのが近年の企業の共通した課題です。
また実は、若い男性も昇進の意欲がなくなってきていると言われています。

井本様井本氏:
責任の重さが原因なのですかね?

小室:
長時間労働の上司が、家庭での時間も持てず、非常に疲れている様子を見て、管理職というポジションに魅力を感じなくなったと言う声も多くなってきています。
昇進することが、家庭を犠牲にすることなのならば、それは望まないという人も増えてきました。

今まで、「女性の両立ロールモデルを作らないと」ということは言われてきましたが、 実は男性にも「家庭を大切にして、仕事も出来るワークライフバランス上司」のロールモデルが求められているのです。

また、今の学生は、企業戦士で夜遅くまで家に帰ってこない親を見て育っているため、 企業選びにも、働き方はどうか?という視点を持って臨んでいる傾向がありますね。

井本氏:
ただ、仕事と人生をどのように切り分けるかは人それぞれなのではないでしょうか?

小室:
そうですね、実はワークとライフの関係をどう捉えるか、というところがポイントだと思います。現在私たちが取り組んでいる仕事のほとんどがアイディアや人脈、創意工夫などの付加価値が勝負の仕事です。
そうすると、高い付加価値のアウトプットを出せるためにはアイディアや人脈が生まれるためのインプットの時間が必要であるということが言えます。ですから、ライフを充実させることで、ワークの成果があがり、相乗効果が生まれるんですね。

最近では、定時で帰って仕事がきっちり終わっているエース社員、定時に帰って家族とコミュニケーションが取れていることで、消費者マインドなどに詳しい部長など、これまでにない新しいタイプの人が出てきています。
JTB様こういった社員が多ければ多いほど、残業代も無く、高い価値を生み出せて会社は儲かるんですよね。

ただし、組織の風土が、こういった人たちにとってまだまだ居づらいケースがほとんどですね・・。

井本氏:
居づらいというのもあるでしょうが、能力が突出してしまい評価に繋がらなかったり、考えを認めてもらえない気がしますね。
これでは非常にもったいないので、新しいチャレンジを認めていくことがダイバーシティの追及だと思っています。

導入企業

JTBの採用、人材に対する考え方

小室:
JTB様の採用の状況はいかがですか?

井本氏:
本当に優秀な女子学生が採用面接を受けに来ます。
自分の娘がこのように育つといいなと思ってしまうほどです。
採用するのは男女合わせて6万人受験者のうち、たったの700人ですがお客様だと思って面接するようにしています。

JTBには、学力的なことも含めて女性の方が高いレベルの人が採用試験を受験しに来ます。

小室:
それはどうしてでしょうね。

井本氏:
仕事内容にやりがいを感じてくださっているんでしょうね。
ただ、今後は働きやすい企業という視点でも努力していかないと男女問わず、優秀な学生は採用できなくなると思っています。

小室:
本当ですね。近年は企業選びが変わってきて、出産・育児を経てもきちんと働き続けていけるかどうかを重視するようになってきています。

私の就職活動のころ(1998年)は育児休業のことや女性の平均勤続年数についての質問は内定をもらってからしか聞けない話題だと思っていたのですが、最近では会社説明会で大きく手をあげて女子学生が「育児休業者の人数は?」と聞くようになってきました。
御社での学生の傾向はどうですか?

坂本氏:
ほとんどすべての学生が働き続けたいという意思を持っています。
また、採用担当者によると、人事制度のことは必ず質問されるようになっているそうです。
時代の大きな変化を感じています。

井本氏:
昔、女性は家庭に入るのが7割くらいでしたが、今の若い世代は全く違うのではないでしょうか。

小室:
そうですね、実は、私たちの親の世代の男性一人の収入ならば子どもが3人ぐらいは育てられたのですが、もう今の男性の一人の収入では子どもは1人ぐらいしか育てられないんです。つまり、家庭に入りたいか、仕事をしたいかという希望ももちろんあると思いますが、夫婦二人の収入がないと家計が安定しないという経済背景があるのです。ですから、考え方や価値観の話というよりは、経済背景が変わったから家庭のあり方も変わらざるを得ない、という非常に経済合理性の話なんですね。

こういった背景もあって、学生はブランドイメージだけで企業を選ばなくなり、人気企業ランキングも大きく入れ替わってきています。
学生時代にインターンなどをして社会人と接点を持つ学生が増えたことで、その企業の働き方の実態を耳にする機会が増えたことも背景にあると思います。

井本氏:
JTBでも、入社してからのギャップをなくすために、採用時に、これからもっと仕事の実態なども伝えていかなければいけないと思っていますし、働きやすい風土への改革ももっと力を入れないと、と思っています。

職場復帰をしやすい環境づくり

導入企業
小室:
弊社のコンサルティングを受けてくださっている、ある企業様では、女性が入社から7〜10年で出産や育児をきっかけに辞める傾向にあったのですが、調べてみると7〜10年目の人材は一人当たり採用費と教育費で1千万ちかくも費用がかかっていることが分かりました。
せっかく育成した人材がやめてしまうのは企業にとって大きな損失になってしまいます。

坂本氏:
坂本様弊社は、これまで退職された方にも再度戻って活躍して欲しいと思い、『再雇用制度』を作りました。
過去の仕組みの中では、どうしても辞めざるを得ない環境だった人も戻れるように一昨年、社長からメッセージを出しました。こういった取り組みもダイバーシティだと感じています。

ある支店で、支店長になった翌年に子どもを授かり、とても悩んだそうなのですが、周囲が理解して積極的にサポートしたことで復活して活躍している社員がいます。
休業中も、職場復帰支援プログラムを活用したことで、他の企業様のママさんと復帰のノウハウや託児所の情報交換が出来、本当に助けられたと言っていましたよ。

井本氏:
こういった事例がどんどん普通になっていくと良いですよね。

坂本氏:
彼女は、子供を持ったことで仕事上でも視野が広くなったと聞いています。
新たな視点が生まれ、旅行の企画パンフレットの書き方1つにも、どんどんアイディアが浮かんでいるそうです。

小室:
素晴らしいロールモデルですね。こうした前例があることが広く知れていくと、後に続く人は本当に前向きに復帰できるでしょうね。

坂本氏:
ですから、今回社内で発行している冊子「ダイバーシティマガジン」に、彼女を取り上げて紹介しているんですよ。

井本氏:
こういった、実態が伴う変革は本当にやりがいがあります。
これからもバランスシートにのっていない人材の価値にしっかりと向き合い、ダイバーシティに取り組んでいきますのでコンサルティングのサポート、期待しています。

小室:
ありがとうございます!
本日はお時間ありがとうございました。

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